惑星ピスタチオ『大切なバカンス』  ★★★★

王子小劇場で行われた、惑星ピスタチオの映像&トークイベントに行ってきた(6/13)。 「大切なバカンス」上映回は、元ピスタチオの西田シャトナー(演出家)と保村大和(役者)が映像を観ながら生解説&上映前後にトーク。 この舞台後、ピスタチオの看板俳優だった平和堂ミラノ佐々木蔵之介が相次いで脱退したからか、上映後のトークは終始しんみりした感じだった。
「大切なバカンス」は、都会暮らしの少年(カカオ)が、従姉妹(リラ)の住む田舎で過ごす夏休みの話。 ピスタチオといえば、小道具を使わず動きと声で何でも表現する"パワーマイム"*1が有名だが、この舞台ではさらに実験的なことをしていて、8人の役者全員がカカオ、リラ、おじいさん、おばあさんの4役を演じていた。 しかも、それぞれが時にはカカオの父、時には村の少年、時にはおじいさんの孫になったりと、1人何役をこなしたか計測不能。 西田氏は上映中、「1役を複数人で同時に演じる場面が欲しかったから、こういうことをやってみた」という趣旨の発言をしていて、確かに複数人同時1役が、様々な感情を伝えるのにあそこまで効果的とはと驚いたが、役者が代わる度その人のイメージが変わり感情移入し辛かったので、やりすぎだと思った。 その他西田発言で印象に残ったのは、「所々英語を使ったのは、カカオにとって田舎がいかに異世界かということを表現したかったから」や、「ギャグと思わせて実は伏線(この舞台では「ヒュー・グラント似」等)という手は度々使った」といったあたり。
キャラメルボックスで観た時はいまひとつだった平和堂ミラノ(田嶋ミラノ)が、この舞台では滅茶苦茶輝いていた。 「私が惑星ピスタチオでやりたかったことを、全てやり終えてしまった」というのもわかる気がした。

*1:この舞台では電車やトラック、動物、昆虫、地形、水面に浮かぶ影などを表現。