森博嗣 ★★★★★

森博嗣大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)』読了。違和感を感じた記述は、以下の5点ぐらい(居住地域や研究分野が、森博嗣と私は違うからだと思われる)で、ほとんどの内容について、頷きまくり。720円+税という定価は、ページ数の割りに高すぎる、と購入前は思ったが、この内容なら、この倍の値段は出してもいい。

Q 本書を読んだ人にどんなことが伝わればよいとお考えですか?
A それも、読む人それぞれによって違うと考えています。僕は、こういう視点もある、という一例を示すことしかできません。
ただ、僕がひとつだけいえることは、素直に考える。自然に考える。ということでしょうか。人の意見、マスコミの報道、他人に対する意地、過去の例、経緯、貸し借り、そういった雑音を排除して、自分が見たもの、自分が触れたものをデータとして、単純に割り出す。その答えを信じることです。(p.9)

どういうわけか、今の子供たちは、自分が観察したものよりも、人から聞いたものの方を信じる傾向にあります。(p.44)

さっきも話しましたが、機械が故障しても、なかなかずばっと直してくれるプロがいません。どうも、みんなおっとりしている。てきぱきと仕事ができない。気が利かない。サービス業も、どこもお客を待たせて平気な顔です。(p.59)

国際的な学会、つまり、アメリカやイギリスの学会、の雑誌に論文を投稿して、それが掲載されることは、かなり評価されます。国内の雑誌よりもちょっと難しい程度ですけれど。(p.103)

博士課程へ上がってくる人はとても少ないのです。博士課程に在籍している学生のほとんどは留学生だといっても良いでしょう。(中略)本来、日本人の若者に、研究という特殊な教育をしなければならない、と思いますが、まあ、現状ではまだ無理かもしれませんね。(p.119-120)