橋本紡 ★★★☆

橋本紡『流れ星が消えないうちに』を読んだ。 恋愛模様だけでなく、家族の物語をもう少し描いてほしかった。 僕の左手は、今も加地の右手を掴んでいる。 加地の左手は、奈緒子の右手を掴んでいる。 そうして僕と奈緒子は繋がってきた。加地という男をあいだ…

道尾秀介 ★★★

道尾秀介『向日葵の咲かない夏』を読んだ。 登場人物のほぼ全員が、ある種の狂気を孕み、後味悪さ抜群。 ホラーとしては最高だが、第6回本格ミステリ大賞の候補作になるほど、ミステリとして優れているとは思わない。 (反転→)探偵が、ある事件の犯人(←反転)…

森博嗣 ★★★

森博嗣『MORI LOG ACADEMY〈1〉 (ダ・ヴィンチ ブックス)』を読んだ。 身の回りの出来事は「HR」に、それ以外は「国語」、「算数」、「理科」、「社会」、「図工」に章分けされた、親切編集。 彼のひねくれた(でも言われてみれば、確かにそうかもと思わされ…

山本幸久 ★★★★

山本幸久『はなうた日和』を読んだ。 あっこの人は、あの話に出てきたあの人かな、という具合に、登場人物が微妙にリンクしている連作集。日常のちょっとした出来事を、ここまで面白く読ませる筆力は、凄いと思う。

倉知淳 ★★★★★

倉知淳『ほうかご探偵隊 (ミステリーランド)』を読んだ。 あまりの出来の良さに、ビックリした。

三崎亜記 ★★★★

三崎亜記『バスジャック』を読んだ。 よくもまぁ、こんな変な状況を色々思いつくな。「二階扉をつけてください」と「動物園」がお気に入り。

三崎亜記 ★★☆

三崎亜記『となり町戦争』を読んだ。 隣り町との戦争は役所の公共事業、という設定が秀逸。所々に挿入される書類が良い。第4章で、無理矢理山場をつくらなくてもいいのに。

葉山透 ★★★

葉山透『ニライカナイをさがして (富士見ミステリー文庫)』を読んだ。 FI*1の存在が浮いていて、タクローの正体は、早い段階で察しがつく。ミステリ要素は排除して、素直に電撃文庫から出せばよかったのに。 リカの出した、2通の手紙の文面は、とても良い。 …

田代裕彦 ★★★

田代裕彦『シナオシ (富士見ミステリー文庫)』を読んだ。 「名前を逆から読んで、あだ名にする」のは、いくらなんでも苦しいと思ったが、なかなか意欲的なことをやっている。でも、文章があまり巧くないので、何が起こったのかわかり難い。

池上永一 ★★★

池上永一『シャングリ・ラ』を読んだ。 豊崎由美や大森望、北上次郎が激賞する作品は、だいたい外れがないんだけど、これはイマイチだったなぁ。アトラス建設理由は予想通りだったし、死んだと思わせて実は...、という展開が多すぎる。 対メデューサ戦は、読…

西林克彦 ★★★★

西林克彦『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)』を読んだ。 「わかる」から「よりわかる」に到る過程における「読む」という行為の主たる障害は、「わかったつもり」なのです。「わかったつもり」が、そこから先の探索活動を妨害するか…

光原百合 ★★★☆

光原百合『最後の願い』を読んだ。 謎が解かれる度に劇団員が増えるという構成は、なかなか巧いなぁと思った。 旗揚げ公演に向け、これだけ面識のない人達がどうまとまっていったのか、全く描かれていないのが不満。

恩田陸 ★★★☆

恩田陸『夜のピクニック』を読んだ。 第26回吉川英治文学新人賞、第2回本屋大賞受賞作。 登場人物達のやり取りと、自分の思い出を重ね合わせられる人が羨ましい。私は、芳岡祐一のような高校生活を送ったので...。これといった山場がないが、このまま映画化…

村上春樹 ★

村上春樹『アフターダーク』を読んだ。 ある夜、数人の男女の身に起こったことが、第三者視点で淡々と書かれていた。ただそれだけ。驚きもなければ、感動もない。だから何?、という読後感。

瀬尾まいこ ★★★☆

瀬尾まいこ『幸福な食卓』を読んだ。第26回吉川英治文学新人賞受賞作。 家族の物語なのか、主人公の成長物語なのか、虻蜂取らずな印象。家族愛を確認するのに都合がいい、ラスト一編の唐突な展開は、正直勘弁。

支倉凍砂 ★★☆

支倉凍砂『狼と香辛料 (電撃文庫)』を読んだ。第12回電撃小説大賞受賞作。 銀貨を巡る知能戦を期待させたが、力技での決着で拍子抜け。ホロに萌えられれば、もっと楽しめたかも。

米澤穂信 ★★★★

米澤穂信『クドリャフカの順番―「十文字」事件』を読んだ。 駆け足で明かされる犯人の意図よりも、料理対決(ワイルドファイア)やわらしべプロトコルが印象に残った。 初版には、重大な誤植有。

斎藤由多加 ★★☆

斎藤由多加『ハンバーガーを待つ3分間の値段―ゲームクリエーターの発想術 (幻冬舎セレクト)』を読んだ。 発想云々の話題より、筆者が開発に関わった、ゲームの話題が面白かった。 どんなにすばらしいCGをつくったところで、プレイヤーの思考の中で化学変化を…

森博嗣 ★★★★★

森博嗣『大学の話をしましょうか―最高学府のデバイスとポテンシャル (中公新書ラクレ)』読了。違和感を感じた記述は、以下の5点ぐらい(居住地域や研究分野が、森博嗣と私は違うからだと思われる)で、ほとんどの内容について、頷きまくり。720円+税という定価…

京極夏彦 ★★★

京極夏彦『文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)』読了。 つまらなくはないが、特別面白くもなかった。 やってることは、ある意味『姑獲鳥の夏』と同じ。

珍しく仕事早っ

第58回日本推理作家協会賞を受賞したからか、昨年出た戸松淳矩『剣と薔薇の夏』がもう文庫化されるんだな。 東京創元社にしては、珍しく仕事が早い。

とみなが貴和 ★★

とみなが貴和『夏休みは命がけ! (角川スニーカー文庫)』読了。 スピード感のない文章で、逃走劇を読まされてもな...。 早い段階で、りぃなの真意を明かしたのは○。

貫井徳郎 ★★

貫井徳郎『殺人症候群 (双葉文庫)』読了。 途中から斜め読み。 重苦しいばかりで、ちっとも面白くなかった。 内輪揉めではなく、特殊チームと職業殺人者の決闘という展開にしてほしかったし、前作『誘拐症候群』同様、行った先々で手がかりが転がり込むとい…

貫井徳郎 ★★☆

貫井徳郎『誘拐症候群 (双葉文庫)』読了。 前作『失踪症候群』以上にするする読めるが、並行して描かれる誘拐話同士の絡み合う箇所が少なく物足りないし、行った先々で手がかりが掴める『火車 (新潮文庫)』的展開は好きじゃない。 後藤やジーニアス>視点の記…

貫井徳郎 ★★

貫井徳郎『失踪症候群 (双葉文庫)』読了。 失踪者を追うくだりは面白かったが、ドラッグ絡みの殺人事件に話が方向転換してからはいまいち。 原田家の話は書き込みが甘い、というか不要。

『げんしけん』特装版

秋葉原では完売状態らしいが、芳林堂書店コミックプラザに山積みされていたので、思わず購入。 久米田康治がどんなのを描いてるのか、見てみたかった。

伊坂幸太郎最新刊

表紙をみて、洋書のペーパーバックや村上春樹『象の消滅』(四六判変型ソフトカバー装)みたいなのを想像してたんだが、四六判並製カバー装なんだな。

乙一『GOTH』

文庫版『GOTH』のあとがきを、上下巻共に乙一自ら書いていると知り、立ち読みしてきた。 ...読まなきゃよかった。 物書きはアルバイト感覚。 金に困らない限り、書く気にならない、という風に読めてしまった。 映画づくりのほうがよっぽど魅力的ですかそうで…

麻耶雄嵩 ★★☆

麻耶雄嵩『名探偵 木更津悠也 (カッパ・ノベルス)』読了。 真相に気付いたワトソン役の香月がヒントを出し、ホームズ役の木更津に必ず解かせるという構図が、帯のたたき文句「本格ミステリを破壊し、再構築する」ということなんだろうか。 「白幽霊」 事件の…

西澤保彦 ★★

西澤保彦『生贄を抱く夜 (講談社ノベルス)』読了。 チョーモンイン・シリーズ第7弾。 西澤保彦お得意の、歪んだ性格による歪んだ動機を中心に据えた話が多かった。 全体的に低調。 「一本気心中」 カスミを連れて行く、と妻に電話するぐらいの気をきかせるべ…